公認会計士試験の勉強時間は、一般に3,000時間~5,000時間と言われています。仮に3,000時間で合格できたとして一日8時間休み無しで勉強しても375日かかります。他の学業やアルバイト、仕事や家庭の事情なども考えると、多くの受験生は合格までに約2年くらいはかかると考えてください。
そんな勉強の時間の中でも大きな割合を占めるのが、授業です。特に、授業の予習をどうするかといった悩みを持っている受験生を見かけます。
そこで声を大にして言いたいのですが、授業に予習をする必要はありません。
そもそも、授業の役割は良質なインプットをすることである
公認会計士試験の初学者は、どの科目に関しても最初は全く分からないところから始まります。進捗度が多少進んでも、新しい論点ではこれまで学んだこととはまた別の新しい考え方をしなければならないことも多いです。
そこで活躍するのが授業です。知らない論点や複雑な論点を初見でなるべくわかりやすく正確にインプットするために、予備校で授業を作っています。要は授業は良質なインプットなんです。
予習とは「インプットのための事前インプット」と言えます。インプットがダブっているこの文を見ただけで、無駄な感じがしますよね。また、そもそも知らない論点をインプットするのが授業ですから、そのための事前インプットとは、何も知らないけどとりあえずテキストを読んでみようという、効果的でない勉強時間の使い方と言えます。
私も受講の最初の頃は、授業のための予習をしていました。しかし、役に立った覚えがありません。それも当然で、知らない論点を予習しようにも、勘所がわからないので、結局授業でインプットをし直す羽目になります。まさに二度手間です。
インプットは授業にまかせてしまったほうが、むしろ効率的です。
授業数が多いので、予習をするのが大変
次にどの程度の時間が授業に使われるのか、TACの2018年卒業向けの2年コースを参考に概算してみました。
財務会計(計算):約50コマ
財務会計(理論):約30コマ
管理会計:約30コマ
監査論:約20コマ
企業法:約35コマ
租税法:約30コマ
経営学:約15コマ
総合計:約210コマ
※入門期・上級期の区別なくカウントしています。
※答練の解説は含めていません。
TACの1コマはおよそ2時間半~3時間です。計算しやすいように3時間と考えると、授業だけで「210コマ ✕ 3時間 = 630時間」となります。仮に1コマあたり1時間の予習をしたとすると210時間。授業と予習を合わせると840時間。これだけで想定勉強時間の30%に迫っています。
今回の計算では予習時間を1コマ1時間としましたが、きっちり予習をしようと思ったら1時間では全然足りません。授業の3時間の中には論点がびっちり詰まっていますので、予習には3時間以上の時間が必要です。中途半端に予習するくらいなら、何もせず授業を受けたほうが素直な気持ちでインプットできますので効率的に学ぶことができます。
授業の予習はやってはいけない
授業に関する予習がいかに非効率的なものなのか、わかっていただけましたでしょうか。
繰り返しになりますが、授業の予習はしてはいけません。時間に余裕があるといった人は、予習よりもこれまでに勉強した論点の復習を何度も行ってください。その方が試験の結果に直結します。