仕事選びは「生き方」から逆算すればいい

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大人になると、自分で生活するだけのお金を稼がなければなりません。

誰でも何かしらの仕事をする必要があるのです。

じゃあどんな仕事に就いたらいいのでしょうか。

 

YoutubeのCMで「好きなことで、生きていく」というのがありました。


好きなことで、生きていく - HIKAKIN - YouTube [ Long ver. ]

私が当時このCMを見た時には「好きなことで生きていけるのなら、なんて素晴らしいことなんだろう!」とワクワクしたのを覚えています。

もし自分が子供だったらもっと強烈に食いついていたかもしれません。

 

じゃあ今はというと、全くワクワクしません。

むしろ「好きなことで、生きていく」ことは危険だとすら感じています。

 

仕事は「好きなこと」で選ぶべきという風潮

YoutubeのCMは顕著な例かもしれませんが、自分の「好きなこと」を仕事にすべきという風潮は普通の就活でもどんどん強まっています。

大企業にしか目を向けない就活生に対する方便かもしれませんが「中小企業の方が好きなことができるよ」といった喧伝は多くなりました。大企業に就職して得られる安定よりも「好きなこと」をしたいという学生が多くなっているというのもまた事実です。

そのため、就活ではみんなが必死になって自己分析をして、自分の「好きなこと」を探して、「好きなこと」を仕事にする企業に就職することが幸せにつながると考えているようです。

一度限りの人生ですから好きに生きた方がいいと私も思いますが、「好きなこと」を仕事にすることに大きな危険性があることを伝えておきたいです。

 

「好きなこと」は好きでなくなった時がやばい

就職企業ランキングを見ると、マスコミ・出版系の企業が少なからず存在します。マスコミ・出版系は採用人数が少ないにもかかわらず学生には人気です。

実際にテレビや雑誌というのは普段から見ているものですから、それに憧れを持って、マスコミ・出版系の企業を志望する人が多くて人気になってしまう、ということはある意味当然のことかもしれません。

ただ、マスコミ・出版系の仕事というのは大企業から零細企業に至るまでもれなく激務です。大企業ですら激務なのですから、中小企業になってくると激務という言葉すら生ぬるい状況が待っています。

激務にもかかわらず、なぜマスコミ・出版系の企業が人気であるのかといえば、学生が「好きなこと」を優先して企業を選んでいるからです。

裏を返すと、激務という働き方の障害の部分を「好きなこと」だからという理由で乗り越えられると考えているからです。

確かに「好きなこと」だから、激務を乗り越えることはできます。「好きなこと」は一種の麻薬ですから。

 

マスコミ・出版系に限った話ではありません。

「好きなこと」にとらわれていると、「好きなこと」の仕事の内情を無視しがちです。

パンが好きだからパン屋を仕事したいと考えても、「朝早くに起きて仕込みをして夜遅くまで働く」といった働き方を「好きだから」でどこまで続けられるでしょうか。

 

冒頭に挙げたYoutuberだって同じです。

企画→録画→編集→アップロードという工程で動画を作っていますが、動画を作ったことのある人はわかると思いますが、かなり大変です。毎日動画をアップロードしているYoutuberはどれだけの時間を動画作成に使っているのでしょう。おそらく12時間は可動しているのではないでしょうか。普通の会社員よりも働いていますね。

Youtuberで活躍している人たちは本当に「好きだから」無茶な働き方ができます。

 

「好きなこと」を仕事にするということは、その仕事の内情が自分にとって無理な部分があった場合、それを「好きなこと」パワーで乗り越える部分が少なからず出てきます。

「好きなことをしているのだから、頑張らないと」とね。

じゃあ「好きなこと」ではなくなった場合にはどうなるのでしょう。

当然、無理をしていた分、体が壊れてしまいます。

 

もし好きでないことを仕事にしていたら、そんなことにはなりません。

「好きじゃないんだから、辞めちゃおう」と考えますよね。

好きでない仕事に就きたいという物好きはそういないでしょうが、「好きなこと」を仕事にする人よりもよっぽど健康に生活できます。だって仕事で無理はしないんだもの。

 

「好きなこと」は稼げない

マスコミ・出版系の仕事は、大企業に行けばそれなりに高収入が見込めます。

しかし、大企業に行ける人数は、マスコミ・出版系の業界を志望する母集団と比較すると、かなり低確率です。募集倍率1000倍以上と言っても過言ではありません。どれだけ努力をしても大企業に就職できない可能性が高いのです。

だからといって「好きなこと」を諦めきれません。

それならば、大企業が無理なら中小企業に行けばいいという発想になります。しかし中小企業の年収は、サラリーマン平均よりも下回っていることが多いです。

でも、「好きなこと」ができるのであれば給料が安くても中小企業でも構わない…。

 

 

「好きなこと」ばかり重視していると、収入を捨てなくてはいけない場合が多くあります。目指す人が多い割に成功する人の数が少ないからです。

これはマスコミ・出版系の仕事にかかわらず、スポーツや芸術関係の仕事に多い傾向があります。スポーツのプロ選手・芸人・音楽家・俳優なども、成果が出ない・売れない状態であれば、収入には困ってしまいます。その収入はサラリーマン平均を大きく下回ります。バイトで食いつなぐ毎日でしょう。

「好きなこと」というのは収入に必ずしも結びつかないのです。

それでもあなたは「好きなこと」を仕事にするためにがんばれますか?

 

「好きなこと」よりも「生き方」で仕事を選ぶ

健康面・収入面を考えた時に、私は「好きなこと」を仕事にすることは危険だと思います。「好きなこと」でなくなってしまった瞬間に、その仕事は自分を苦しめるただの呪いとなります。

 

「好きなこと」で仕事を選ばないのであれば、何を基準で仕事を選べばいいのか。

簡単です。

どんな「生き方」をしたいのかで仕事を選びましょう。

「生き方」というのは、「好きなこと」も含んだ大きな考え方です。

「生き方」を考えるというのは、例えば、将来的には結婚して、子供は2人欲しくて、一戸建てのマイホームを買って、子供の授業参観には絶対参加したくて、子供が留学したいといったらそのお金を出せるくらいの稼ぎは欲しくて……といったことです。

もし上記のような「生き方」をしたいのであれば、どんなに「好きなこと」でもマスコミ ・出版系の仕事は選ばないでしょう。だって大企業に行かない限り稼ぎはそこまで多くないし、激務なのだから子供の授業参観なんて参加できる余裕はないです。

「好きなこと」を捨てろとは言っていません。むしろ「好きなこと」は仕事で成果を出すためには大切な要素です。自分の「生き方」に合ったキャリアを考えれば、選択肢は狭まるでしょうが、それでもいくつかの選択肢があるはずです。その選択肢で自分が最も「好きなこと」を選べばいいのです。

 

「生き方」を具体的に考えるほど自分のキャリアが明確になる

私はCFOを目指していますが、実はCFOがゴールではありません。

私のゴールは、

「喫茶店のマスターをしながら、経営者などのお偉いさんたちとおしゃべりをして、時にはコンサルティング的なことをゆるーくする」

という老後を送りたいからなのです。

じゃあそんな老後を送るためにはどうすればいいのか。

普通に平凡に会社員をしているだけでは、喫茶店の経営はできそうですが、経営者が集まっておしゃべりしてくれるような喫茶店にはできなさそうです。

じゃあ経営者がどうしたら私の喫茶店に集まってくれるのか。

自分が経営層と話をできるくらいの実力と結果を持っていなければなりません。

そのためには、喫茶店を経営する前に、私がいくつかの企業で活躍して実力と結果を認めてもらう他ありません。

……と、話を広げていったらキリがないのでここで止めておきますが、私はこんなふうに自分の将来像をイメージしてそこからキャリアを逆算しています。その途中のマイルストーンとしてふさわしいのがCFOだっただけであり、CFOになることを目標に日々生活を送っているというわけです。

(CEOでもいいんじゃないと思われるかもしれませんが、CFOである理由もちゃんとあるので、その説明はこの記事の本筋から外れるので割愛させていただきます)

 

私は「好きなこと」を捨てているわけではありません。

私は「生き方」を考えて、そこからキャリアの選択肢をいくつかに絞り、その選択肢の中でお金が「好きなこと」だったのでCFOを選んだのです。

もし世間一般の「好きなこと」に私が素直に従ったら、ゲームのプロデューサーや編集者を目指すと思います。実際に目指している時期もありました。

しかし、ゲームプロデューサーや編集者の先に、喫茶店で経営者と話をしている私の姿はどうにも想像できませんでした。だからやめました。

 

おわりに

「好きなことで、生きていく」というフレーズは、本当にいい響きです。人生を幸せに過ごす上で重要な意味合いも含んでいます。

ですが、「好きなこと」を中心に仕事を選んだら、その先には大きな危険が待ち受けています。

もし就職先を困っているのであれば、「生き方」を考えてみてください。そうすれば自ずと自分が取るべきキャリアの選択肢が見えてくるはずです。

 

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