現役会計士が解説!簿記資格は公認会計士試験に有利なのか

2021年1月11日

この記事に書いてあること

・簿記の級ごとの公認会計士試験との関連性

質問する人

簿記を勉強したことがあるんだけど、簿記って公認会計士試験にどれくらい役に立つの?

この記事ではこんな疑問に答えます!

ヌル

簿記を勉強したことがある人は、「公認会計士」「税理士」と簿記と関連した資格について、聞いたことがあるのではないでしょうか。

また、簿記に合格した人は、その勢いのまま「次は公認会計士だ!」と、次の目標になることも少なくないように思います。

ただ、実際に公認会計士試験の勉強をしていないと、簿記と公認会計士試験の関係は、なかなかイメージしづらいのではないでしょうか。

加えて、簿記は1級から3級まであるので、どの級がどのように公認会計士試験に有利になるのかも、イメージしづらいと思います。

そこで、この記事では公認会計士試験と日商簿記の関係性について、1級から3級までの級別に解説してみました。

なお、話を分かりやすくするため、この記事の内容は、公認会計士試験の「財務会計の計算問題」と簿記の「商業簿記の計算問題」の比較としました。

「公認会計士試験の前に簿記を勉強するか迷っている人」にとっても、参考になるように書きましたので、ぜひ読んでみてください。

「簿記3級」は公認会計士試験に役立たない

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まずは「簿記3級」ですが、残念ながら簿記3級に合格できたからといっても、公認会計士試験に有利になることはほとんどないです。

なぜなら、簿記3級は公認会計士試験と比べて勉強範囲が圧倒的に狭く、難易度も易しい論点がほとんどだからです。

固定資産を例にしますと、簿記3級は「取得」「売却」「減価償却」など、非常に基礎的かつ簡単な論点が試験範囲です。

一方で、公認会計士試験では「取得」などの基本的な会計事象は前提条件として与えられることが多く、解答で求められることはかなり限定的です。

簿記3級から公認会計士を目指す人へアドバイス

簿記3級を持っていて公認会計士試験に挑戦したいという人は、「簿記2級」に挑戦することをオススメします。

直接的に公認会計士試験の受験をオススメしないのは、簿記3級は簡単な論点しか勉強しないからです。

そのため、簿記3級を持っているからと言って「公認会計士になれそう!」と思うのは、あまりに早計です。

簿記2級に合格できて、ようやく会計の基礎中の基礎を身につけられたなといった感じです。

なので、簿記3級を持っているからと言って公認会計士を目指さず、まずは簿記2級にチャレンジしてみてください。

簿記2級の各予備校のリンク先を貼っておきますので、気になる人はぜひ予備校に問い合わせてみてください。

もし簿記2級も問題なく合格できるのであれば、公認会計士への適性がありますよ!

ヌル

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「簿記2級」は公認会計士試験への適性を測れる

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簿記2級に苦労なく合格できた人であれば、公認会計士試験にある程度の適性があると言えます。

簿記2級は簿記3級と比べると幅広な論点を勉強しますし、一部難しい論点も出てきます。

例えば、固定資産でしたら「圧縮記帳」「除却・廃棄」「建設仮勘定」といった、会計士でも少し頭を悩ませるような論点が出題されます。

難しい論点としては、2017年の試験範囲の改訂により追加された「連結会計」が挙げられます。

「連結会計」は近年の会計実務ではとても重要な論点で、公認会計士試験でも必ず出る論点です。

このように簿記2級は公認会計士試験でも重要といわれる論点が試験範囲となってきます。

注意点としては、論点が同じだけでその内容の細かさや出題問題の難易度は、公認会計士試験の方が圧倒的に難しいです。

加えて、公認会計士試験と比べると、簿記2級の試験範囲はまだまだ狭いです。

そのため、簿記2級に合格できたとしても、公認会計士試験の問題で正答できるかといえば、正直厳しいです。

簿記2級を持っていれば公認会計士への適性はあります。
でも、公認会計士に合格するには、簿記2級の勉強とは比較にならないくらいの勉強量は必要です。

ヌル

簿記2級から公認会計士を目指す人へアドバイス

簿記2級を持っていて本気で公認会計士試験に挑戦したいという人は、公認会計士試験へ挑戦していいと思います。

論点の幅広さや難易度は公認会計士試験の方が難しいのですが、簿記2級はそれらの基礎基本となります。

その証拠に、公認会計士の予備校のカリキュラムには、簿記2級は公認会計士の試験勉強の入門編として含まれることが多いです。

公認会計士試験への基礎基本である簿記2級を難なくできたというのは、公認会計士試験への適性があります。

ある程度の自信を持って、公認会計士試験へ挑戦してみてもいいと思います。

公認会計士の予備校のリンク先を貼っておきますので、参考にしてください。

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私は公認会計士試験に挑戦する前に、簿記2級に独学で挑戦してみました。
その結果、80時間ぐらい勉強して不合格だったのですが、勉強時間の割に点数がよかったので、公認会計士試験に挑戦することを決めました。

ヌル

ちなみに、簿記1級を受験するというのも、選択肢としてはあると思います。

ハイレベルな経理を目指すという意味では、簿記1級は魅力的な資格だと思います。

ただし、「公認会計士試験への適性を見極める」という目的で簿記1級を受験するのは、時間的にオススメできません。

簿記1級の合格までの勉強時間は500時間、期間にして6カ月~1年といわれています。

公認会計士試験への適性を見極める方法としては、時間も費用もかかりすぎな印象があります。

「簿記1級」は公認会計士試験で正答できるレベル

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簿記1級に合格する実力があれば、公認会計士試験の基礎的な問題は正答できるようになっているはずです。

簿記1級と公認会計士試験とでは、試験範囲はかなり近くなります。

固定資産でいえば、簿記1級では新たに「減損」「資産除去債務」「セールアンドリースバック」などを勉強します。

これらの論点は公認会計士試験でも重要な論点で、出題頻度がとても高いです。

簿記2級で話題にした「連結会計」についても、「持分法」「連結上の税効果会計」など、公認会計士試験を勉強している人も頭を悩ますような論点も簿記1級では試験範囲に含まれています。

ただ、問題の難易度や複雑さは、公認会計士試験の方が高いです。

そのため、簿記1級を合格していれば基本的な問題は正答できるとは思いますが、少し複雑な問題については、正答は難しいと思います。

簿記1級から公認会計士を目指す人へアドバイス

簿記1級と公認会計士試験の間には、問題の難易度の差こそありますが、論点に関してはそこまで大きな差はありません。

そのため、簿記1級に合格できたのであれば、公認会計士試験への適性はとても高いので、公認会計士試験へ自信を持って挑戦してOKです。

また、簿記1級の合格のための勉強時間は、半年から1年とそれなりに長期間です。

その点からも、長期間の試験勉強に関する適性というのもそれなりにあることが見込まれます。

公認会計士の予備校のリンク先を貼っておきますので、参考にしてください。

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公認会計士を目指すのに簿記の勉強はあらかじめ必要か?

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最後に「簿記を勉強したことはないけど、公認会計士を目指したい」という人に向けて、簿記をどのように勉強したらいいかということを説明します。

公認会計士試験の挑戦を「決めた」人へのアドバイス

「公認会計士になってやる!」と決めた人は、簿記は勉強しないで直接公認会計士試験の勉強を始めましょう。

これまで会計に全く縁がなかった人でも合格できるように、各予備校はカリキュラムを組んでいます。

予備校の最初のカリキュラムは簿記2級です。

多くの予備校が、公認会計士試験の勉強の入門編として簿記2級程度の内容を勉強します。

ぜひ予備校に問い合わせてみてください。

公認会計士試験への挑戦を「迷っている」人へのアドバイス

難関資格である公認会計士試験への挑戦を決めるというのは、とても不安なことだと思います。

挑戦するための根拠が欲しいという人もいると思います。

そういった人には、公認会計士試験への適性を見るために「簿記2級」を勉強するのがオススメです。

簿記2級には、会計において難しい論点をいくつか含んでいますから、会計への適性というものをある程度見極めることができます。

また、簿記2級の予備校の費用は10万円前後、勉強時間は350時間と言われていますので、お金や時間のコスパが比較的良い方だと思います。

仮に公認会計士を目指さなかったとしても、簿記2級を履歴書に書けるのは今後の職歴にメリットになります。

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この記事のまとめ

  • 「簿記3級」は公認会計士試験に役立たない
  • 「簿記2級」は公認会計士試験への適性を見極めるのに使える
  • 「簿記1級」は問題によっては公認会計士試験の問題を正答できる

簿記は公認会計士試験の一要素でしかありませんので、簿記ができたからと言って公認会計士試験に絶対に合格できるとは言いません。

ただ、公認会計士試験の配点からして、簿記(財務会計)を重要視している節があります。

また、合格してからよく使う知識は間違いなく簿記です。

なので、試験対策的にも、今後の働く環境という意味でも、簿記への適性は大切になってきます。

そのため、公認会計士試験への挑戦を迷っている人は、まずは簿記を勉強してみてはいかがでしょうか。

ではでは。

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