短答式試験に合格するための戦略とは【財務会計】

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この記事では公認会計士試験の短答式試験の財務会計の戦略について考えてみたいと思います。

短答式試験全体の戦略についてまだ読んでいない方は、下記の記事を読んでから本記事を読まれるとより理解できます。

 

あなたは短答式試験の戦略を綿密に立て、勉強を積んで本番を迎えました。

企業法・管理会計・監査論は予定通り合格ラインを超えているという手応えがあり、最後の科目の財務会計にたどり着きました。

ここまでくれば合格は見えたも同然……。

ではありません!

短答式試験でこの3科目が予定通りに事が進んでも、財務会計をしくじればすべてが水の泡になります!

 

企業法・管理会計・監査論は多少ミスが多くなっても他の科目でカバーすることができます。しかし財務会計のミスは企業法・管理会計・監査論のすべてを使ってもカバーしきれない場合があるとてもリスキーな重要な科目なのです。

なぜミスができないのか、どんな戦略を立てればミスを少なくできるのか、考えていきたいと思います。

※以降は、なるべく具体性を持たせるべく明確な数値で説明しています。しかし試験によって問題構成や配点が変わる可能性があるため、注意してください。

 

財務会計の短答式試験の内容

財務会計は200点満点の試験で、試験時間は2時間です。短答式試験は500点満点ですので、財務会計だけで短答式試験の40%の配点となります。いかに財務会計が重要かが分かります。

 

問題構成と配点は、大きく以下のように分けられます。

  • 計算問題【個別】(104点)
  • 計算問題【総合】(24点)
  • 理論問題(72点)

 

計算問題【個別】(104点)

計算問題は個別問題と総合問題の2種類あります。

個別問題とは、1つの問題を題材にして1つの解答を導き出す形式です。そのため1問あたりの題材となる論点は少ないため、明瞭な問題が多く、解答がしやすいです。

配点は1問あたり8点で、13問出題されます。点数では104点という配点となり、財務会計の配点のおよそ50%になります。

そのため財務会計の出来不出来は計算の個別問題をどれだけ正答できるかにかかっているといっても過言ではありません。

 

計算問題【総合】(24点)

総合問題とは、1つの問題を題材にして複数の解答を導き出す形式です。具体的には、企業連結を題材として与えられ、利益剰余金・のれん・資本剰余金・非支配株主持分…といった複数の勘定科目の数値を求めるようになります。

配点は設問数によるのですが、総合問題は合計して24点分の配点となることが多いため、設問数が4問なら1問あたり6点、設問数が6問なら1問あたり4点といった配点となります。

 

総合問題は個別問題と比べると費用対効果が悪いです。

「利益剰余金を求める時に使う情報」と「のれんを求める時に使う情報」は異なります。それなのに、問題の情報はぐちゃっと寄せ集められているため、使う情報を間違ったり勘違いすることが頻発します。

使う情報が違う以上、個別問題を1つ1つ解答しているのとさほど大きな違いはありません。むしろ総合問題としてまとめて解答しようとすると、使う情報を間違えたり、数値を見間違えたり、集計を間違えたりとミスのオンパレードです。

総合問題は複雑な問題であるため、解答に要する時間は増えます。個別問題を1問解答する以上に総合問題の設問1つを解答するのに時間を使うことだってあります。

解答するにあたって「難しい」「時間がかかる」「配点が少ない」の三重苦が総合問題なのです。

 

理論問題(72点)

理論問題は企業法・管理会計・監査論と形式は変わりません。長文の問題が多めですが、その分配点が増えていると思えば許容範囲内です。

配点は1問あたり8点で、問題数は9問となります。

理論問題全体で72点と高い配点となっています。

 

財務会計の内容をここまで確認してきましたが、財務会計の戦略を考える上で押さえるべき特徴は以下になります。

  • 計算の個別問題と理論問題の1問あたりの配点が同じ
  • 計算問題の中では総合問題よりも個別問題のほうが効率的

 

計算の個別問題と理論問題に配点が同じ

計算の個別問題と理論問題は、1問あたり8点という高配点で共通しています。

この点を理解していない受験生が多いように私は感じます。

予備校で「計算は重要」と繰り返し言われるので、計算をマスターすれば合格しそうな気持ちになり、試験でも多くの時間を計算に充てることに苦心するのでしょう。

確かに計算問題を解答するには理論問題に比べると時間が必要ですので、その考え方は間違っていません。しかし理論問題を軽視したら足元を救われます。

計算の個別問題と理論問題は1問あたり8点という高配点なのですから、1問の重要性は同じなのです。そのため、理論問題を解答する際には早く解答することよりも、少し解答スピードを落として確実に正答する意識が必要です。

 

計算問題の中では総合問題よりも個別問題の方が効率的

個別問題は出題形式が簡潔で論点が少なく、解答しやすい問題が多いです。解答しやすければ時間もさほどかかりません。また1問あたりの配点は8点と大きいです。

総合問題は個別問題と真逆です。論点は入り乱れており、そのため解答に必要とされる時間が多くなりがちです。それなのに1問あたりの配点は4点~6点と少ないです。

計算問題の取捨選択をどうすればいいかと問われれば、極端な話、個別問題だけ解答するのもありです。それくらい個別問題の方が得点を重ねやすく効率的なのです。

 

 

財務会計の戦略

財務会計の試験内容をここまで確認してきましたが、重要なのは理論問題と計算の個別問題をできる限り正答することです。

そのため私が財務会計の戦略を考えた時は、理論問題と計算の個別問題を高めの目標、計算の総合問題は低めの目標で最悪取れなくてもいいとすら考えていました。

具体的な数値目標は以下のとおりです。

  • 理論問題の80%を正答(58点・6問~7問正答)
  • 計算の個別問題の70%を正答(72点・9問正答)
  • 計算の総合問題の50%を正答(12点)

合計すると142点となり、得点率はおよそ70%となります。

理論問題の目標が高めとなっている理由は、計算問題と違ってケアレスミスする可能性が低く、もし全く分からない問題でもなんとなく解答できる場合が多いからです。私としては高いという意識はあまりありません。

実際に解答する際は、何問まで落としても問題ないかを常に意識していました。上記の目標の場合は、理論問題は2問、計算の個別問題は4問を落としても合格ラインには到達できるという意識を常に持っていました。この意識を持つことで、分からない問題があっても、まだ許容範囲内であれば、すぐに次の問題に向かうことができます。

 

時間配分

では、この目標を達成するためにどのような時間配分にしたか説明します。

  • 開始~30分で理論問題を解答
  • 30分~75分で計算の個別問題を解答
  • 75分~100分で計算の総合問題を解答
  • 100分~120分で残った計算の個別問題を解答

 

開始~30分で理論問題を解答

試験開始と同時にすべての理論問題を解答しました。

好みの問題かもしれませんが、私は計算問題の後に理論問題を解くことが苦手でした。なんというか、計算問題でかなり労力を使ったらしく、頭が重くて、理論問題ではわかっている問題が読めなかったりケアレスミスが頻発しました。

時間は30分と結構余裕を持っています。基本的に30分もかかることはありませんでしたが、理論問題は配点が大きいこともあり、なるべく慎重に解答したいということを戦略にも反映させたかったのです。

 

30分~75分で計算の個別問題を解答

理論問題が終わったら、そこから45分を使って計算の個別問題を解答します。1問あたり7分ぐらい使うとすると6問を解答することができます。計算の個別問題は9問正答が目標ですので、ここで6問をしっかり正答しておくと合格がかなり近くなります。

また次のステップに入る前にすべての計算問題を軽く読んでおき、その時点でどの問題が解きやすそうか目星を付けておきます。

試験の後半になるほど焦りが出てくるので、その前に面倒なことは済ませておこうという魂胆です。

 

75分~100分で計算の総合問題を解答

扱いが難しい総合問題をここで解答します。計算の個別問題が全て終わった後に解答するという戦略もあり得るのですが、私はそうしませんでした。総合問題は問題量があって読み込みが必要となります。後回しにすればするほど、焦りで問題が読めなくなるということを避けるため、計算の個別問題の間に入れることにしました。

総合問題で重要なことは時間を使いすぎないことです。

繰り返しの説明になりますが、総合問題は費用対効果が悪いです。個別問題に時間を使いたいのであればそうすべきです。

私の戦略では25分も使っていますが、計算の個別問題が簡単そうであれば、総合問題の時間は20分や15分に短縮して、その分を個別問題に充てていました。

 

100分~120分で残った計算の個別問題を解答

あとはラストスパートです。残っている計算の個別問題をできる限り解答するのみです。考えることはありません。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

財務会計をどのように解答していくかはかなり迷われると思います。もし解答の順番や時間の使い方に困っていましたら、一度私の戦略を使ってみてください。

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