【公認会計士】半年で短答式の合格は凡人にとって無理ゲーです

2020年1月12日

この記事に書いてあること

・短答式試験に合格するには、半年では勉強時間が全然足りない

・半年で合格している人の特徴

・無理ゲーでも挑戦する人へのアドバイス

こんにちは、ヌルです。
短答式試験に一発合格した経験や監査法人に勤務している経験をベースに「短答式試験に半年で合格できるか?」について解説します。

ヌル

まずお伝えしなければならないのは、半年で短答式試験に合格するのはものすごい茨の道ということです。

合格した人がいないわけではもちろんありませんが、「元々のスペックが高いこと」と「再現性があまりない難易度の高い勉強方法」が必要です。

なので、自分のことをとても優秀だと自負する人以外、短答式試験に半年で合格を目指すようなやり方は、オススメできません。

この記事では、半年で短答合格することが無理ゲーであることと、それでも挑戦したい人へのヒントを提供します。

半年では勉強時間が全然足りない

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まず、短答式試験に合格するには最低でも1,500時間の勉強時間が必要だと僕は考えています。

詳細はこちらの記事で解説しているので、興味がある人は読んでみてください。

次に、半年で確保できる勉強時間を考えてみます。

「日数は365日をざっくり半分」「1日の勉強時間は8時間」という条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 日数:365日 ÷ 1 ≒ 180日
  • 1日あたりの勉強時間:8時間
  • 180日 × 8時間 = 1,440時間

この条件で考えると、半年で確保できる勉強時間は「1,440時間」でした。

1,500時間には少しだけ足りていないだけなので、きちんと勉強していれば合格できる可能性は高いかもしれません。

ただ、この条件通りに勉強をやりきるのは無理ゲーです…。

なぜなら、この条件には休みを一切考慮していないからです。

毎日休みなしで勉強するには、相当な精神力が必要です。

それこそ、小さいころからお受験や難関大学への勉強を毎日していたといった感じで、強度の高い勉強になれている人以外無理だと思います。

毎日勉強するのですら大変だというのに、そのうえで1日に8時間も勉強するというのは、無理に無理を重ねているとしか言いようがありません。

というわけで、もう少し現実的な条件で再検討してみます。

「週1日で休み」「1日の勉強時間は6時間」としてみると、次のようになります。

  • 日数:180日 × 6 ÷ 7 ≒ 154日
  • 1日あたりの勉強時間:6時間
  • 154日 × 6時間 = 924時間

このように、現実可能なレベルで考えると、半年で確保できる勉強時間は「924時間」ということになります。

短答式試験の合格に必要な勉強時間は1,500時間なので、そのの勉強時間に500時間以上も足りていません。

これでは、どんなに効率よく勉強しても、時間が足りなさすぎで合格は無理です。

半年で合格している人の特徴

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勉強時間を考えてみただけで無理ゲー感がありますが、実際に半年程度で合格している人は少ないですが存在しています。

その人の特徴をまとめてみました。

  • 慶應大学出身
  • 授業を倍速で1日2本こなす(授業は1本3時間程度)
  • 休みはなし
  • A論点B論点を勉強して、C論点は基本的に捨てる
  • 論文の記述練習は最後の模試だけ
  • 答練は受けることと受けないことが半々ぐらい

参考(効率的な学習で9ヶ月の超短期合格【三ノ輪真也さん】 | CPA会計学院)

箇条書きにしてみるだけでもハイスペック感が伝わってきます。

まず、慶応大学出身ということで、トップクラスの大学に合格できるぐらいの地頭や勉強習慣が身についていると思われます。

「高学歴=勉強ができる」とは限りませんが、勉強ができる割合はその辺の大学に比べたら段違いに多いです。

次に、授業を一日に2本見るというのも、結構すごいことです。

単純に見流すだけなら誰でもできますが、授業の内容をきちんと理解してインプットするためには集中力を要します。

また、公認会計士の予備校の授業は、そのほとんどが2時間30分~3時間の授業です。

それを1本ではなく2本も見ることができるのは、相当な体力と精神力の持ち主です。

また、そういった強度の高い勉強をしておきながら、休みなしで勉強を継続できているのもかなり異常です。

あまり試験では出てこないC論点を最初からきっちり捨てているのは、時間がないからこその割り切りがしっかりできているなという印象です。

最後、びっくりしたのが論文の記述練習をしていなかったことですね。

理論上、きちんと頭の中で理解をしていれば記述の練習なしでも、問題なく文章を書くことは可能です。

ただ、あくまで理想の話であって、普通は記述練習をしないと論文で点数は取れません。

ちなみに、僕は記述問題がとても苦手でした。
そのため、多くの文章を書いて、講師に添削をしてもらって、ようやく点数をもぎ取るといった感じで、かなり苦労しました。

ヌル

最後は論文式試験の話も入ってしまいましたが、短答式試験を半年で合格する人がどのくらいハイスペックなのかわかっていただけたと思います。

無理ゲーな上でも挑戦する人へのアドバイス

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「勉強時間が足りない」「自身のハイスペックが必要」というのは理解いただけたと思います。

それでもなお、半年での短答合格に挑戦したいという人に向けて、アドバイスをいくつかします。

A論点B論点を必ずマスターする

各予備校で難易度の呼称は違うと思いますが、A論点(最重要論点)とB論点(重要論点)の勉強に集中してください。

C論点は「出題可能性がある」といった感じで設定されていることが多く、予備校的には無視できない論点であるため、テキストに含めていることが多いです。

しかし、C論点は受験生のほとんどがちゃんと勉強していませんし、その論点が出題されても予備校でやったようなことのない形式がほとんどですので、点数につながりません。

そのため、C論点は完全に捨てて、A論点・B論点に少ない勉強時間を投入しましょう。

授業は絶対にサボらない

授業は1本あたり3時間程度使ってしまうので、時間がないとサボったり飛ばしたりしてしまいがちです。

しかし、授業はかなり良質なインプット方法です。

講師が論点やテキストの内容を噛み砕いてくれていますから、テキストをただ読むよりも分かりやすいです。

また、読む(視覚)だけでなく、聞く(聴覚)も使うので、より頭に入ってきやすいです。

半年で短答式試験に合格したいのであれば、「急がば回れ」で授業は絶対に受けるべきです。

ただし、たまにC論点の内容だけの授業があるので、それは視聴しないでOKです。

ヌル

答練も絶対にサボらない

授業と同様に、時間がないと答練もおろそかにしがちです。

勉強においてはインプットは大切ですが、アウトプットはそれ以上に大切です。

アウトプットとは「思い出して表現する」ということで、この動作をすることで勉強した内容が記憶により定着しやすくなります。

ただ、答練はつらいし疲れるので、しんどくなればなるほど逃げたくなるのが答練です。

そこで、強制的にアウトプットする機会として、予備校の組んだスケジュール通りに答練を受けることを徹底しましょう。

「答練の問題を家に持ち帰ってやる」ということもできますが、そうすると、つい解答を見るだけでアウトプットはしなかったり、最悪はやらずに答練が積みあがってしまいます。

自分の実力を向上させるために、歯を食いしばってスケジュール通り答練を受けましょう。

土日はない

時間がなさすぎるため、土日も基本的に勉強です。

どうしても集中できなかった日は、半日や1日休むという決断をして、健康をぎりぎり保つようにしましょう。

理論問題を重点的に勉強する

短答式試験における点数の割合は、理論問題が多いです。

 短答式試験の一般的な配点

科目理論問題の配点計算問題の配点
企業法1000
管理会計4060
監査論1000
財務会計80120
合計320180

表を見るとわかるように、計算問題が180点(全体の36%)に比べて、理論問題は320点(全体の64%)もあります。

そのため、短答式試験で点数を取るだけなら、理論問題を重点的に勉強するのが効率的と言えます。

ただ、理論問題を重視した勉強方法は、論文式試験を見越した時にはリスキーな方法なので、それを覚悟で臨んでください。

この記事のまとめ

  • 短答式試験に半年で合格するには、半年で1,500時間の勉強時間を確保することが大前提
  • 加えて、自分自身の勉強スペックがとても高いことも必要
  • さらに、短答式試験に特化した勉強を貫かないといけない

短答式試験に半年で合格する方法について解説しましたが、正直、「僕には無理だな…」と感じます。

「とりあえずチャレンジしたい!」という人もいるかもしれませんが、最終的に公認会計士試験に合格したい人ならば、チャレンジすらオススメしません。

というのも、挫折を感じると勉強を続けることが本当に難しくなるからです。

半年で短答合格するのは基本が無理ゲーなので、多くの人は挫折するでしょう。

挫折した後から通常のスケジュールで勉強できればいいのですが、無理したうえで挫折しているので、メンタルへのダメージがかなり大きいと思います。

その結果、公認会計士試験から撤退する可能性が高くなってしまいます。

最終的に公認会計士試験に合格したいのであれば、無理のないスケジューリングで挑むことを強くオススメします。

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