「いよいよ短答式試験まで1ヶ月を切ったけど、ここからどんな勉強をしたらいいんだろう。勉強以外にも、準備しておかなきゃいけないことはないのかな……」
こんな疑問に答えます。
この記事の内容
- 直前期は「理論問題」に力を入れよう
- なるべく科目のバランスよく勉強をしよう
- 「下見」や「体調管理」も合格のためには必要です
この記事を書いているぼくは、1年間の勉強で12月の短答式試験に一発合格しています。
成績は、財務会計が140点、管理会計が85点、企業法が90点、監査論が75点でした。
こんなぼくが直前期(試験1ヶ月前)にやったことを説明したいと思います。
理にかなっていると思いますし、誰にでも真似のできることです。ぜひ参考にして、短答式試験の合格を勝ち取ってください。
目次
直前期は「理論問題」に力を入れよう
公認会計士の勉強を始めてから直前期に至るまで、計算問題が勉強の中心だと思います。
しかし、直前期に入って計算問題ばかりやっていても合格はできません。
直前期に入ったら、たとえ計算問題の勉強が十分ではなかったとしても、勉強の中心は「理論問題」に切り替えていくべきです。
「理論問題」に力を入れるべき理由
- 短答式試験は理論問題の配点が高い
- 理論問題の習得は、計算問題に比べて早い
- 理論問題は計算問題に比べて、選択肢を絞りやすい
短答式試験は理論問題の配点が高い
短答式試験までの勉強は、財務会計と管理会計の計算がほとんどです。そのため、本試験でも「計算をできるようになっておけば、合格できる!」と考えがちです。
しかし、その考えが間違いであることが、短答式試験の配点から分かります。
短答式試験の理論と計算の配点
科目 | 理論問題の配点 | 計算問題の配点 |
---|---|---|
企業法 | 100 | 0 |
管理会計 | 40 | 60 |
監査論 | 100 | 0 |
財務会計 | 80 | 120 |
合計 | 320 | 180 |
回によって配点のばらつきはありますが、基本的には理論問題が320点、計算問題が180点という配点になります。
このように、短答式試験は理論問題に多くの配点が割り振られているのです。
短答式試験は合計点数の350点(得点率70%)が合格基準です。そのため、単純に配点だけ考えれば、むしろ配点が多い理論問題中心に勉強しなければなりません。
理論問題の習得は、計算問題よりも早い
計算問題を本試験で正答するには、かなりの勉強量が必要です。
そのため、公認会計士試験の勉強をし始めてから直前期に至るまで、予備校では「計算問題を勉強しろ」と口うるさかったはずです。
それに比べて、理論問題を本試験で正答するのは、そこまでの勉強量を必要としません。
理論問題は正しい記述を見分ければいいだけですので、知識の有無だけで正答ができます。計算問題のように経験による慣れがほとんど必要ありません。
また、短答式試験の理論問題は、難しいところまで問われません。表面的な知識を聞く問題ばかりです。
たとえば、企業法では条文からの出題がほとんどで、解釈や凡例を問われるような難しい問題が出題されません。
計算問題と比べると「慣れが必要ない」「問題が簡単」ということから、理論問題を短答式試験で正答できるレベルまで習得するのは、計算問題と比べたらとても早いのです。
理論問題は計算問題よりも、選択肢を絞りやすい
もしも、正答の選択肢がわからなかったとしても、理論問題は正答できる可能性が高いです。
理論問題は、「4つの記述のうち、正しい2つの記述の組み合わせを6つの選択肢から選ぶ」という問題形式です。そのため、1つでも記述の正誤が分かれば、選択肢はあっという間に6つから3つに絞られます。
一方で、計算問題はそんな簡単に選択肢を絞れません。
計算問題は「6つの選択肢のうち、正しい数値を選ぶ」という問題形式です。どんな根拠で選択肢の数値が選ばれているかわからないため、選択肢を狭めていくということができません。計算をひと通り終えて、計算結果を選択肢から選ぶしかないのです。
【コラム】なぜ計算問題を勉強する必要があるのか
まず、理論問題だけでは合格点に達することはできません。理論問題の配点は320点ですので、仮に理論問題が満点だったとしても、合格まで30点足りません。
加えて、そもそも理論問題を満点というのは不可能です。没問と呼ばれる誰も解けない問題が毎回出題されるからです。
こういった理由から、いくら効率が悪かろうとも、計算問題を解けるように勉強しないといけないのです。
なるべく科目のバランスよく勉強をしよう
短答式試験の合格のためには、4科目すべてをバランスよく勉強しなければなりません。得意科目ばかりでもダメですし、苦手科目ばかりでもダメなのです。
得意科目は伸びしろが小さい
勉強に慣れてくると、得意科目を多く勉強してしまうことがあります。得意科目は基本的に正解できますし、気持ちがいいです。
しかし、短答式試験の合格にはあまり近づけていません。なぜなら、得意科目をいくら勉強しても、点数の伸びしろが小さいからです。
すでに企業法で90点を取れる実力があった場合、残り10点しか点数を伸ばすことができません。また高得点を取ろうと思えば思うほど、出題される可能性が低いマイナー論点も勉強する必要があります。
このように、得意科目は伸びしろが小さいし出題可能性も低いですから、こと直前期の勉強としては効率が悪い言わざるを得ません。
苦手科目は伸びしろが大きい
苦手科目は直前期になればなるほど、勉強を避けてしまいがちです。なぜなら、いくら勉強をやっても正解できる気がしないからです。そりゃ気乗りもしません。
しかし、短答式試験に合格するためには、苦手科目からは逃げてはいけません。
むしろ苦手科目こそ勉強すべきです。
企業法で40点しか取れない実力だった場合、最大で60点も点数を伸ばすことができます。合格ラインギリギリの70点を狙うとしても、30点も伸ばすことができます。
また、100点満点のうち60点分ぐらいは非常に基本的な論点ばかりです。少し勉強をすれば簡単に正答できるようになります。
伸びしろが大きくて内容も難しくないとくれば、いくら苦手科目でも勉強をすべきです。
とはいえ、苦手な科目ばかりやるのもダメ
なぜなら、得意科目が本番でできなくなるからです。
得意科目だからといって勉強をしないと、1週間もすれば感覚が鈍ってきます。
この鈍りというのは恐ろしいもので、少し前には簡単に解けていた問題が、なぜかスムーズに解けなくなります。
すると、今度は苦手な論点や科目に対する不安が大きくなるという悪循環が生まれます。
試験前にこんな悪循環で不要な心配をするべきではないです。
苦手科目で得点を伸ばす勉強をする一方で、得意科目は鈍らない程度に基本的な論点を網羅的に勉強するようにしましょう。
こういったバランスの取れた勉強が、短答式試験の合格への近道です。
「下見」と「体調管理」も合格のためには必要です
試験まで1ヶ月を切ってくると「もっと勉強しなきゃ」と気持ちが焦り出します。
しかし、その焦りを抑えて、合格するためには勉強以外にもやっておいた方がいいことがあります。
それが「下見」と「体調管理」です。
なるべく早めに試験会場の「下見」に行く
試験日と同じ曜日、同じ時間に試験会場へ下見に行ってください。
試験会場へ行くというのはけっこう大変で、電車の乗り換えや駅から試験会場までの道筋、お昼を買う場所など、頭を悩ませるポイントがたくさんあります。
下見をしていないと、試験当日にこういった悩みで気持ちを焦らせます。気持ちが焦ると、試験前の休息や最後の復習を十分に行うことができません。
こういった不安は事前に下見することで解決できます。できる限り早めに下見に行って、不安材料をつぶしておきましょう。
2週間前から「体調管理」に重点を置く
調子の善し悪しだけで、発揮できる能力というのは大きく左右されます。
合格確実という実力があっても、当日にインフルエンザにかかっていたら、ほぼ間違いなく落ちるでしょう。それくらい体調というのは、合否に直結します。
合格のために体調管理を十分に行いましょう。
直前期は、勉強で追い込むというよりも、少し緩めるくらいでちょうどいいです。
2週間前から、できれば1ヶ月前から体調管理は意識したほうがいいです。
なぜなら、それより短い期間で体調管理をしようとしても、うまくいかない場合があるからです。風邪を引くと、引き始めから完治するまで、少なくとも1週間はかかります。鼻やのどの不調はもっと残ってしまうかもしれません。
このように、たかが風邪でもけっこう長い期間でカラダに悪影響を与えてしまいます。当日にできる限り健康でいるためにも、長い期間をかけて体調管理をしてください。
まとめ:理論問題を中心に、バランスよく勉強することが合格への近道
この記事のまとめ
- 直前期は「理論問題」をしっかりと勉強すること
- 苦手科目があるなら、苦手科目を勉強の中心にすること
- 4科目すべてをバランスよく勉強すること。勉強しない科目があると腕が鈍って落とし穴になることも
- 合格のためには「下見」と「体調管理」をしておくこと
直前期の勉強時間は「理論問題:計算問題=7:3」というのが目安の割合だと考えます。
特に、合格点まで点数が足りない人は、思い切って典型論点以外の計算問題を切っていいぐらいです。
計算問題をどうしてもやりたいという人でも「5:5」ぐらいまでにしましょう。
説明したように、理論問題の配点が大きいのです。それなのに、直前期までずっと計算問題中心というのは、合格から自ら遠ざかっているようなものです。
短答式試験の本質をよく考えて、直前期を過ごしてください。
じゃーの。