「どんな勉強をすれば短答式の企業法でいい点数が取れるの?」
「目安の勉強時間は?」
「金商法と商法はやったほうがいいの?」
こんなふうに、公認会計士試験の短答式試験に向けた企業法の勉強方法で悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
そんな人の疑問に答えます。
本記事の内容
- 企業法の勉強の基本は「テキストを徹底的に読み込むこと」
- 企業法で高得点するための目安の勉強時間は「200時間」
- 「金商法」と「商法」は逃げずにやることが点数アップにつながる
この記事を書いているぼくは、1年間の勉強で短答式試験に一発合格しています。
その時の企業法の点数は「90点」でした。
企業法は法律科目なので難しいと思われがちですが、ちゃんと勉強すれば短答式試験で一番の得点源になってくれる科目です。
ぼくは特別な勉強方法をしたわけではありません。当たり前のことを続けるだけで、短答式の企業法は高得点を取ることができます。
そのやり方をまとめてみました。
目次
企業法の勉強の基本は「テキストを徹底的に読み込むこと」
企業法の勉強方法はとてもシンプルで、「テキストを徹底的に読み込むこと」です。
どの科目もテキストを読むことは大切ですが、その中でも企業法は一二を争うぐらいにテキストを読むことが大切で、それがそのまま点数に繋がります。
なぜテキストを読み込むことが大切なのか
予備校のテキストは試験で出やすいところや重要なところをまとめてくれています。もしテキストを試験に持ち込んでいいのであれば、ほぼ100点が取れるでしょう。
そのくらいテキストのクオリティがいいのですから、テキストを使って理解と暗記することが高得点への近道です。
実は、テキストを読み込むことは、もう1つ大きなメリットがあります。
それは「論文式試験の対策」にもなっているということです。
論文式試験では基本的なところをしっかり理解しているかが高得点の解答へのカギになります。短答式試験に向けた勉強の時点でテキストをちゃんと読み込むことで基礎知識が固めておくと、その知識はそのまま論文式試験に使うことができます。
論文式試験までの一発合格を考えている人は、テキストを読み込むことを意識してください。
六法全書を常備する
テキストを読むときには六法を常に横に置いてください。そして主要な条文は六法で条文を読んでください。
なぜなら、条文に慣れておいたほうがいいからです。
条文は、正直読みづらいものです。法律の基礎がない人が読んでも何を言っているのかさっぱりわからないです。
だから受験生の皆さんも六法を読みたくない気持ちは分かります。
でも六法で条文を読んでください。
なぜなら短答式試験で条文がそのまま問題が出題されることも少なくないからです。条文に慣れておくだけで問題文が読みやすくなりますし、読みやすければ正解もしやすくなります。
「テキストで十分なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、テキストは条文をわかりやすくかみ砕いたものですので、条文の原文がそのまま記載されていることは少ないです。テキストを読めば企業法の理解は進みますが、条文に慣れ親しむことはできないのです。
企業法の勉強をするときに六法をわきに置いて、気になったところをちょこちょこっと読むだけで理解度が全然違いますので、ぜひやってみてください。
問題練習をやることで間違いやすいところをなくす
短答式試験で点数を取るためには、当たり前ですがテキストだけではダメです。テキストを読み込んだのであれば、答練や過去問といった問題練習にも取り組みましょう。
なぜなら、問題練習をやることで自分が覚えていない論点や間違いやすい論点がわかるからです。
何度も間違えてしまう論点は、論点全体をやり直すことがおすすめです。
何度も間違えるということはその論点の基礎となる考え方を勘違いや間違えて覚えている可能性が高いです。そういった論点はすべてをやり直さないとずっと間違え続けます。
例えば、監査役設置会社の問題を間違えたとします。その際には「監査役会設置会社」「監査等委員会設置会社」「指名委員会等設置会社」などの監査役に関連する論点を全点検すると理解が深まります。機関設計全体を見直してもいいですね。
問題練習ばかりしても基礎が固まらない
テキストをあまり読まずに問題練習ばっかりしている人がいますが、それはダメです。
土台となる基礎知識がない状態で問題を解いたとしても「なぜ間違えた」かが分からず、同じ間違いを繰り返します。
また短答式試験のための問題練習は、論文式試験にほとんど役に立ちません。問題練習をすることで短答式試験の合格には近づくでしょうが、公認会計士試験の合格にはあまり近づけていないのです。
論文式試験まで効率よく合格するには、短答式試験の合格も大切ですが、それと同じくらいに基本的な部分の理解が必要なのです。
試験直前になればなるほど問題練習をたくさんやる
とはいえ、試験直前になったら悠長なことは言っていられません。
テキストを読むことはほどほどにして問題練習をたくさんやりましょう。
特に過去問の問題練習はやったほうがいいです。
なぜなら、企業法の問題は過去に出題された問題が繰り返し出題されることが多いからです。
予備校での答練や練習問題は過去問を意識して作られていますから、素直に答練や問題練習をするだけで、企業法の得点アップにつながります。
企業法で高得点するための目安の勉強時間は「200時間」
1年間の勉強時間のうち、200時間も勉強すれば企業法で高得点を取ることができます。
あまりやりすぎても点数が伸びませんので、200時間~300時間を目安に企業法は勉強して、その他の時間は違う科目に使いましょう。
200時間の内訳
勉強は「授業」「答練」「自習」の3つにわけることができます。
「授業」の勉強時間は75時間。
短答式試験までに予備校で用意されている授業は30コマぐらいです。1コマ3時間と考えると90時間ですが、途中を飛ばしたり倍速することが普通ですので、75時間と考えます。
「答練」の勉強時間は10時間。
短答式試験向けの答練は多くないので、だいたいこのくらいです。
ちなみにこの答練の時間の中に、答練の復習は含んでいません。次の自習に含めています。
「自習」の勉強時間は115時間。
自習は授業と答練以外の時間です。ひたすら「テキストを読む」「答練・過去問の問題練習をする」の繰り返しです。
授業と答練はカリキュラムをこなしていればみんなが勉強しますから、差はつきません。
差がつくところは「自習」です。
ここの115時間をどうやって確保するかが、企業法で高得点を取るためのポイントになりますね。
少しの時間でいいから「毎日」勉強をする
これは感覚的な話ですが、ぼくは毎日企業法をやることで覚えがよくなりました。勉強の休みの日ですら、10分でもいいから企業法だけはテキストを読んだり問題を解いたりしました。
理由を言葉にすると、毎日企業法にふれることで企業法に「慣れた」のでしょう。
企業法は公認会計士試験の科目の中でも異色です。ですから「苦手」とまでは思ってないにしても、「とっつきづらいなぁ」ぐらいは思っていました。
そんな苦手意識をなくすためには「慣れ」しかないです。
慣れるために必要なのは勉強時間ではありません。企業法に触れている日数が多いか少ないかによります。
毎日やれば苦手意識がなくなって自然と覚えが良くなるのはぼくの体で体験済みですので、オススメです。
「金商法」と「商法」は逃げずにやることが点数アップにつながる
企業法は「会社法」「商法」「金商法」と大きくわけることができます。
このうち「金商法」「商法」は、配点が少なく、論点としてわかりづらい部分が多いので、時間がない人はやらないことも多いですが、もったいないです。
「金商法」「商法」は絶対に対策すべきです。
絶対に出題されるものをやらないのは損でしかない
企業法の100点のうち、「商法」「金商法」はそれぞれ「5点✕2問=10点」ずつの配点ですから、合計で20点です。
短答式試験の全体の点数が500点ですから、全体の4%ほどと考えると、勉強しないというのも一つの手なのかもしれません、
しかし、過去の傾向から考えると、
企業法のうち20点は「商法」「金商法」からの出題がほぼ確実なのです。
他の科目ではほぼ確実に出るという論点は基本的にないです(財務会計の概念フレームワークぐらいかな?)。
「超重要論点」「頻出論点」といわれるものでも出題されないことはよくあります。
例えば財務会計でいうとリース取引なんかはそうですね。
出る頻度や論点自体の重要性を考えると勉強しなきゃいけない論点です。
だからといって試験に絶対出るわけではない論点なのです…。
その点、企業法の「商法」「金商法」はほぼ確実に出ます。
であれば時間をかけてちゃんと覚えれば、それが点数として報われる可能性がとても高いのです。
全体の4%を確実に対策できると考えたら、おいしくないですか?
短答式試験において「金商法」「商法」ほど勉強時間が結果に反映される論点はないです。ですから、この2つは絶対に勉強をしたほうがいいです。
まとめ:毎日テキストを読むという地味な作業が高得点につながる
この記事まとめ
- 企業法の勉強の基本は「テキスト」を「毎日」読むこと
- 六法を使うことを忘れない
- 試験直前になったら問題練習を多めにやる
- 「金商法」「商法」は確実に点数にできるから、必ず勉強する
こんな感じでしょうか。
「金商法」「商法」は努力が報われる的な話をしましたが、それは企業法全般に言えることでもあります。
企業法の問題は他の科目に比べるととても素直です。難問と呼べる難問もあまり見かけません。
ですから、テキストを読んで六法まで目を通しておくという勉強までやっておけば「あれ、難しい問題あったか?」といった感覚になるはずです。
そこにいたるまでの時間も200時間ぐらいですから、前向きに企業法の勉強に取り組んでもらえればと思います。
というわけで今回は以上です。最後まで読んでくれてありがとうございました!