短答式試験に合格するための戦略とは【管理会計】

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この記事では公認会計士試験の短答式試験の管理会計の戦略について考えてみたいと思います。

短答式試験全体の戦略についてまだ読んでいない方は、下記の記事を読んでから本記事を読まれるとより理解できます。

 

管理会計は短答式試験の中で最も戦略を考えなければいけない科目だと私は考えています。

管理会計は計算問題と理論問題で構成されており、問題量が多い。その問題量の割には試験時間が少ない。

そのため、無策で臨むと失敗する可能性が高くなります。

「目標点に届かない」ぐらいの失敗ならまだいいです。下手したら「足切り」の可能性すらあり得るのがこの科目です。

そういった失敗を避けるためには綿密に戦略を立てる必要があります。

 

 

管理会計の短答式試験の内容

管理会計は100点満点の試験で、試験時間は1時間です。

管理会計は計算問題(60点)と理論問題(40点)があります。

問題構成と配点は、理論問題が1問あたり5点が8問、計算問題は1問あたり7点~8点が8問で合計100点といったものがスタンダードとなります。計算問題は1問あたり9点なんてものもたまにあります。

ちなみに、計算問題の点数は難易度に比例しません

簡単な問題が高得点だったり、その逆で難しい問題の点数が低いこともあります。

そのため、問題の取捨選択は短答式試験の4科目のうち一番重要です。

 

管理会計は以下のような特徴を持ちます。

  • 解答時間に余裕がない
  • 判断に迷う問題が多い

企業法の記事を読まれた方はわかると思いますが、企業法と真逆の特徴を持つのが管理会計です。 

企業法の戦略が気になる方は以下の記事をぜひ読んでみてください。

 

解答時間に余裕がない

管理会計は短答式試験の4科目の中で最も時間に追われる科目です。

例えば、計算問題に1問あたり5分使ったとすると「8問 ✕5分」で40分が必要とされます。この場合、残った20分で理論問題を解答することになりますね。

しかし、管理会計の計算問題を1問あたり5分で解答するというのは、かなり無理のある仮定です。計算問題を正答するためには6分~7分の時間は欲しいところです。もし1問あたり7分使ってしまったら56分を計算問題に使ってしまうことになり、理論問題に使える時間がほぼありません。

 

時間を食ってしまうのは理論問題も同じなのです。

企業法や監査論といった理論だけの科目の問題は、1問あたり1分も使わないで回答できる問題が結構あります。

しかし管理会計の理論問題は、企業法や監査論と比べて問題文がかなり長いものが存在します。1問あたり2分で解ければ早いです。

 

判断に迷う問題が多い

管理会計は単純明快な出題が少ないです。予備校の答練では必須の問題文が本番の試験では存在せずに判断に迷うこともしばしばあります。 

はっきり言えば、管理会計の問題は分かりづらいのです。

問題が分かりづらければ、問題を読み込むのに時間がかかります。その上、問題を読み違えて正答できないなんてことも普通にありえます。もはや踏んだり蹴ったりです。

 

管理会計の戦略

管理会計の特徴を踏まえると、管理会計は安定して得点することが難しいと私は判断しました。

そこで正答できる問題を確実に取るために、目標点も60点~70点と弱気の設定にしました。短答式試験の合格ラインである7割の得点率に満たないですが、満たない分は他の科目で補うようにしました。

無理に70点以上を狙おうとすると、かえって解答の精度が悪くなり、足切りすらありえるということも考慮しています。

 

管理会計で60点~70点を取るために私が取った戦略は、次のとおりです。

  • 20分で理論問題を6問正答(30点)
  • 40分で計算問題を5問正答(30点~40点)

 

20分で理論問題を6問正答(30点)

試験時間60分のうち、最初の20分を理論問題に使いました。8問すべてにチャレンジはしていますが、ケアレスミスやCランクの問題が混じっているため、うち2問くらいは落としてしまうだろうという計算です。

ここで大切なのは、20分という時間を厳守することです。

管理会計では理論問題をすべて正答しても40点にしかなりません。得点を伸ばしていくには計算問題をどれだけ正答できるかにかかってきます。

計算問題を正答するためには、その分計算問題に時間を多く使う必要がありますので、理論問題はできる限り早く解答する必要があります。

 

40分で計算問題を5問正答(30点~40点)

残った40分で計算問題を5問正答を目指します。ただ、これは8問中5問をじっくり考えて正答するという意味ではありません。

計算問題も理論問題と同様に出題された8問すべてにチャレンジします。しかし8問の中には没問となる「正答が難しい問題」「正答のためには時間がかかりすぎる問題」が存在します。

没問かどうかの判断は、かなり勉強を積んだ人でも問題を見ただけでは判断できないでしょう。判断するためには一度問題にチャレンジする必要があります。

私は3分間解いてみて、解答の糸口が掴めそうになかったら別の問題に着手するようにしていました。

どの問題から着手するかといえば、配点が高い問題からです。配点と難易度は比例しませんので、高配点でもびっくりするくらい簡単な問題もよくあります。

得意不得意論点がはっきりしている人は、得意論点から着手するのもありですね。

ちなみに、私は、計算問題では総合原価計算と標準原価計算を後回しにしていました。これらは計算量が多く時間がかかり、ミスを1つでもすると正答できないからです。論点としてはメジャーなので得点したくなりますが、全体の得点を考えると、そこまで美味しくない論点だと私は考えています。

 

管理会計の計算問題では、「解けない問題はさっさと撤退する(捨てる)」といったバランス感覚が非常に重要です。このような押し引きをする時間を考慮すると、40分で計算問題を5問正答するというのは、かなりハードルの高い目標となります。

しかし、この目標を突破しない限りは短答式試験の合格はありません。計算問題は最低でも5問は正答できるように、基礎学力の向上と解答方法の慣れが必要です。

 

まとめ

管理会計は焦ったら1時間はあっという間に過ぎていきます。答練を何度か経験してそのことを痛感しました。

私は「焦ったら管理会計は負ける」と感じましたので、この記事で説明してきたような戦略を立て、できる限り焦らないように管理会計の目標は低く設定しました。点数は伸びませんが安定感が出てきます。

もし管理会計の点数が伸びないと悩んでいる方は、ぜひ目標を低く設定して、それに合わせた戦略を立ててみてください。管理会計が60点~70点に収まれば、他の科目でカバーは十分できますからね。

問題構成は例年の傾向から外れる可能性もありますので、その点は要注意です。本番ではそのことも考慮しておくと不要な焦りがなくなるようになります。

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