正解率がグッと上がる短答式試験の理論問題の解き方

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公認会計士試験の短答式では理論問題がかなりの割合を占めています。企業法と監査論はすべてが理論問題ですし、財務会計と管理会計の3割~4割が理論問題となっています。

企業法と監査論は時間が余るのであまり問題ないですが、財務会計と管理会計は計算が多くて時間に追われます(特に管理会計)。後者の2科目は理論だけでは合格の目安である得点率70%にたどり着けないため計算も重要となります。そのため、如何に理論問題を迅速かつ正確に解答できるかが、短答式試験の合格へのカギとなります。

そこで、今回の記事では私なりの理論問題の解き方を教えたいと思います。

理論問題の解答形式

理論問題と言っても形式は様々ありますが、今回はすべての科目で最も出題される形式を前提に説明します。その形式は、以下のようなものです。

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「平成30年試験第Ⅱ回短答式試験 企業法 問題9」より

このように問題文が4つ記述されており、その中から正しいものを2つ選択するといった問題形式が一般的です。

企業法と監査論はすべてが、財務会計と管理会計の理論問題の8割程度がこの形式となっています。

特徴としては、4つの問題文のうち正しい記述と間違った記述が2つずつ存在するということです。その中から正しい記述を2つ選択して解答するという形式であるため「正しい記述が2つ分かる」もしくは「間違った記述が2つ分かる」という状態であれば、その問題は正答できるということになります。

ここで大切なポイントは4つの記述すべての正否を分かっていなくても、上記の状態になれば正答できるということです。もう少し噛み砕くと、4つの記述のうち運良く2つが正しい(間違った)記述であると判断できるのであれば、それで正答なのです。他の2つの記述は読む必要がありません。

そこで、正答するために大切なことは、記述が正しいのか間違っているのかを自信をもって判断することなのです。

一部でも正否が分かれば正答率はかなり上がる

とはいえ、理論問題は意地悪な問題になるとはっきりと正否と判断できる記述が少ないです。だからこそ、はっきりと判断できる記述は迷わずに正否を判断しなければなりません。

「一部の記述だけ分かっていても、意味ないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。一部の記述だけでも正否が分かっていれば正答率は全然違います。具体的に考えてみましょう。

4つの記述のうち、正否が1つだけ分かる場合

こんな状態では確かに正答から遠いですが、理論問題ではよくあることです。しかし、1つだけ正否が分かっているだけでも、正答率はグッと上がります。

例えば、「ア」が正しいとわかった場合、解答の選択肢は「1」「2」「3」のどれかに絞り込まれます(上記の企業法の例題で確認してみて下さい)。何もわからなかった状態では6択だったものが、一気に3択まで減ります。もし「イ」「ウ」「エ」の正否が判断できなくても、3択であれば当てずっぽうでも少し当たる気がしてきませんか?

4つの記述のうち、正しい記述と間違った記述が1つずつ分かる場合

正しい記述もしくは間違った記述のどちらかが2つ分かっていれば正答できるのに、正しい記述と間違った記述が1つずつだと正答にはたどり着けません。惜しいというかもったいない状態です。それでも、正否を2つも判断できれば正答にかなり近づきます。

例えば「ア」が正しい記述で「イ」が間違った記述の場合、選択肢は「2」「3」のどちらかになります。「ウ」「エ」の正否がわからなかった場合でも、50%の確率で正答することができます。

「◯」「✕」「?」で解答する

ここからは具体的な解答のテクニックを教えたいと思います。

私は理論問題を解答するときは、その記述の横に「◯」「✕」「?」の3つの記号を書いて解答していました。使い方は簡単です。

  • 「◯」…正しい記述であると自信がある
  • 「✕」…間違った記述であると自信がある
  • 「?」…自信がない。知らない。

ポイントは「◯」「✕」を付ける場合は自信がある時に限るということです。自信がないものはすべて「?」にしてしまって構わないです。

もしこの方法で解答してみてほとんどが「?」になってしまうという方がいらっしゃるなら、それは完全に勉強不足です。テキストの読み込みを繰り返し行ってください。

この方法のポイントはもう1つあります。それは「解答のために問題を最低でも2周する」ということです。

1周目はすばやく、すぐに分かるところを解答する

理論問題は判断しやすい記述があれば、複雑で判断できない記述もあります。大切なことは判断しやすい記述をあまり悩みすぎずに判断してしまうことです。勉強を重ねていれば「明らかに正しい」「明らかに間違い」というのが分かるはずです。その自分の判断をあまり疑わずに「◯」「✕」を付けましょう。問題によってはあっという間に正答できるはずです。

その代わり、自信がないものは「?」で構いません。2周目以降でじっくり検討するため、その時間を確保するためにも「?」の判断もなるべく速くしましょう。

その論点自体が自信がないのであれば、問題ごと「?」にして後回しにしましょう。自信のない論点であれば正答できる可能性は高くありませんので、悩む時間が無駄になります。その代わりに自信のある論点や簡単な問題に出会うための時間を確保したほうが合格に近づきます。

2周目は「?」の記述を深く検討する

1週目は速さを重視した解答方法ですが、勉強を重ねていれば1周目の時点で問題の40%程度が自信を持って解答できているはずです。しかし、合格の目安である70%には達していません。

そこで2周目は「?」の正否を判断していく必要があります。「?」と判断した記述は次のように分けられます。

  • じっくり読めば正否が分かる記述
  • やっぱり分からない記述

前者は特に言うことはないです。「◯」「✕」を付けて正答してしまいましょう。

問題は後者です。正答をするために「?」の判断がどうしても必要な場合は、重み付けをして無理やり解答するしかありません。

例えば、「?」の記述が2つあった場合には、その2つを比較して、どちらが正しそう・間違っていそうなのかを判断して下さい。

「?」の判断をする時に大切なことは、「◯」「✕」を付けた記述を疑わないことです。時間や精神的な余裕があるときには「◯」「✕」の記述を疑ってみるのは大いにありだと思いますが、そうでない場合に疑ってしまうと、自信があった解答にも疑念を持つようになります。そうすると焦りや不安が出てきて、他の問題にも影響が出る可能性があります。

正しい記述よりも間違った記述のほうが見つけるのが簡単

正しい記述は文字通り正しいため、あまり引っかかるポイントがなく、素通りする可能性が高いです。また正しい記述には「間違っていない記述」が含まれるため、明確に判断できない場合があります。

一方、間違った記述は、普段テキストで読み慣れている文言と異なっているため、引っ掛かりを感じることが多いです。またどこがどのように間違っているかを判断することが比較的容易です。

そのため私は「◯」よりも「✕」を積極的に探していました。この意識に変えてから理論問題の正答率は結構上がったように感じます。

他の問題形式について

この記事では一般的な問題形式をベースに説明しました。

しかし、問題形式は他にも存在します。

他の問題形式は一般的な形式に比べて基本的に難化し、正答率が下がりますから、合否にあまり関係をしない没問となることが多いです。また今回の「◯」「✕」「?」の解答方法は他の問題形式でも利用できる可能性が非常に高いです。

そのため、他の問題形式の対策を無理に行う必要はないでしょう。

おわりに

理論問題は繰り返していると、知らない論点でも「これは間違っているんじゃないか?」というような勘が働くようになります。間違いの記述のパターンが体に刻み込まれるのかもしれません。

また、理論問題を読むだけで解答する方がいらっしゃいますが、あまりオススメできません。頭の中で混乱したら最後、何が正しくて何が間違っているのかわからなくなります。できる限り問題用紙に自分の判断を一つずつ記録しておいたほうが間違いが少なく、マークミスにも気づきやすくなります。

今回の解答方法をぜひ実践してみてください。

-公認会計士