・短答式試験に合格するための目安の勉強時間は、1年なら「1,500時間」
・単に「1,500時間」を勉強しただけでは合格可能性は低い理由
・実際に合格した人(この記事を書いている人)の科目別の勉強時間
こんにちは、ヌルです。
短答式試験には、働きながら9か月、退職後に5か月の勉強で、一発合格しました。
現在は大手監査法人で事業会社の監査をしてます。
実体験をベースに、短答式試験の勉強時間について説明します。

公認会計士試験の勉強時間について検索してみると、「3,000~5,000時間」と説明されていることが多い印象です。
しかし、その勉強時間は公認会計士試験の短答式と論文式の合計で説明されているもので、短答式個別で説明しているページは、あまりありませんでした。
なので「まずは短答式に合格したい!」と思っている人にとって、目安の勉強時間が分からないままなのではないでしょうか。
この記事では、僕の実体験をベースに、短答式の合格に必要な勉強時間について解説しました。
この記事の勉強時間は僕の主観がてんこ盛りですし、あくまで目安ではあります。
ただ、闇雲に勉強するよりは何かしらの目安があった方が、勉強に集中という人も多いはずです。
なるべく多くの人に参考になるように書きましたので、ぜひ読んでみてください。
目次
勉強時間の集計の前提条件
早速どのくらいの勉強時間か知りたいところかもしれませんが、その前に、前提条件を説明させてください。
というのも、個人のスペックや、時間の集計方法によって、勉強時間が大きく左右されてしまうからです。
もし、あなたが僕の条件に近ければ近いほど、この記事の勉強時間が目安になる確度が上がってきます。
この記事を書いている人の基本情報
- 文系で、偏差値60程度の大学の現役合格。
- 卒業後は5年間はWebディレクターとしてITベンチャーで勤務。
- 公認会計士を目指すまで、簿記を勉強したことがない。
あなたが僕の基本情報と近ければ近いほど、この記事の勉強時間を目安として使える可能性は高いです。
もし、離れていても、ちょっと調整すれば勉強時間の目安になると思います。
僕よりも基本スペックが上だと思えば、勉強時間は割り引いていいです。
僕よりも基本スペックが下だと思えば、勉強時間は割り増しが必要です。
勉強時間の集計方法
- 「Be Focused Pro」というアプリを使って時間を集計。
- 授業や答練など、公認会計士試験の勉強として使ったあらゆる時間を集計。
- ただし、移動など隙間時間の勉強は厳密にカウントできていないので、これはざっくりと集計。
勉強時間の集計に使ったアプリの特性上、勉強に集中している時間のみを集計しています。
そのため、一般的な勉強時間の集計よりもかなり厳密です。
どのくらい厳密かというと、僕が勉強に専念していたころ、1日当たり9時間を勉強時間としてGoogleカレンダーに予定を入れていました。
ですが、上記の方法で、アプリで勉強に集中している時間だけ集計すると、1日当たり5時間から6時間の勉強時間として記録されていました。
これは勉強をサボっていたとかそういう話ではなく、休憩している時間などを厳密に除いた結果です。
実際に勉強をやってみたら実感すると思いますが、本当に勉強に集中できている時間というのは思ったよりも少ないです。
1年間の目安の勉強時間は「1,500時間」

僕の経験から、1年で1,500時間ほど勉強ができれば、短答式の合格可能性は十分高いです。
科目別の勉強時間の実績
- 財務会計論:740時間
- 管理会計論:283時間
- 監査論:105時間
- 企業法:177時間
- 合計:1,304時間
僕が短答式合格するまでの勉強は上記の通りで、合計すると1,304時間でした。
ただ、勉強を始めたばかりはアプリを導入していなかったのと、移動時間などの隙間時間の勉強はアプリに記録をしていませんでした。
そういったことを踏まえると、合計で1,500時間ぐらいは勉強していたと思います。
財務会計論については、公認会計士試験の中心科目ということで、かなり重点的に勉強をしました。
一方で、監査論についてはさほど苦労せずに点数を取れるようになったので、勉強時間はかなり少ないです。
なので、多くの人にとっての監査論の目安の勉強時間は、150時間とか200時間になると思います。
このように、誰しもが科目の得意不得意というのはあります。
なので、「得意科目で点数を取れるから勉強時間を減らそう」「不得意で点数が足りてないなら勉強時間を増やそう」という調整は、個人の感覚に合わせて行ってください。
財務会計論に勉強時間を多く使うべき3つの理由
短答式の合格のためには、とにかく財務会計論が重要です。
財務会計論に勉強時間を使うべき3つの理由
- 配点が大きい。
- 出題範囲が広い。
- 計算問題を早く正確に回答できるようになるまでに時間がかかる。
まずは配点ですが、短答式において、財務会計論の配点はとても大きいです。
短答式全体で500点満点であるところ、財務会計論は200点も占めています。
この配点のせいで、財務会計論以外の科目が高得点だったとしても、財務会計論を失敗したせいで、不合格になるケースはとても多いです。
逆に、財務会計論以外の科目を多少失敗していても、財務会計論で高得点が取れていれば、合格しているケースもあります。
ちなみに、論文式試験でも財務会計論の配点は、他の科目に比べて大きいです。
つまり、財務会計論は公認会計士試験の全体を通して超重要科目なのです!

次に出題範囲ですが、他の科目と比べものにならないほど広いです。
その広さは予備校のテキストを見れば明らかです。
僕が通ったTACでは、財務会計論の計算用のテキストだけで10冊ぐらいあります。
さらに、別に理論用の分厚いテキストが1冊あります。
ちなみに、管理会計論は1冊、監査論は1冊、企業法は2冊です。
こんなテキスト量では、当然、財務会計論の勉強に時間がかかります。
最後に計算問題ですが、点数を安定して取れるまで多くの時間が必要です。
例えば、リース取引の問題で考えてみましょう。
リース取引の中にはぱっと考えるだけで、細かい論点がいくつもあります。
所有権移転・残価保証・維持管理費・etc…
短答式試験は選択肢が6つもありますから、これらの論点を組み合わせたさまざまな選択肢が用意されていて、一筋縄ではいきません。
こういった問題を、本番の試験でスラスラと回答する必要があります。
こういう状態になるまで勉強するのに時間がかかるというのは、感覚的にわかっていただけると思います。
単に1,500時間の勉強をしても合格できない?
気を付けてほしいポイントして、ここで紹介した「1,500時間」という勉強時間は、ただその時間を勉強すれば合格できるものではないということです。
もし、あなたが10年もの歳月をかけて、短答式の勉強を1,500時間勉強したとしましょう。
これで合格できるかといえば、99%無理です。
人は覚えたものを忘れる生き物です。
忘れることを前提とすると、テストでいい点数を取るためには、できる限り短い期間で密度の濃い勉強が重要で、様々なことを覚えてないといけません。
短答式試験はその最たる例とも言っていい試験で、短い試験時間の中で膨大な知識のアウトプットを求められます。
ちなみに、僕は短答式の勉強期間は1年2か月で、勉強時間は1,500時間です。
ただ、次の章でも説明しますが、僕は勉強に専念するまでは、密度の濃い勉強をできていたとは言えず、勉強期間という面では参考にならないかもしれません。
なので、少し勉強期間を短く見積もって、1年で1,500時間で勉強をすれば、多くの人は短答式に合格できる可能性は高いと考えています。
1か月の目安の勉強時間は「150時間」
この章では1か月・1日の勉強時間にも触れていこうと思います。
というのも、 「1年間で1,500時間の勉強ができれば、短答式試験の合格可能性は高い」 と言われても、具体的にどんなペースで勉強したらいいかというのは、やっぱりわかりづらいと思ったからです。
次の画像は、僕が実際に短答式試験に合格したときの月別の勉強時間です。
月別の勉強時間の実績

働きながら勉強した期間は、あんまり勉強できてないですね(笑)。
ただ、 働きながら勉強した期間で身についた勉強の習慣や、働きながらでもある程度勉強が進められたといった自信が、試験勉強を継続できた要因でもあります。
なので、勉強時間は良くなかったけど、必要な準備期間だったなと思っています。
多くの人に参考になると思っているのは、僕が勉強に専念していた7月以降の勉強時間です。
見てわかる通り、合格のために毎月150時間以上の勉強を継続していたことが分かります。
ちなみに、12月は勉強時間が少ないですが、これは12月上旬に試験があったのが要因です。
1か月に換算すると、この月も150時間の勉強のペースとなっています。

1日当たり6時間の勉強をする大変さとは?
次に1日当たりの勉強時間を考えてみましょう。
週1で休みを入れていたことを考慮して、150時間を25日で割ると、1日当たり6時間の勉強を継続していた計算になります。
「1日当たり6時間の勉強」と聞くと、意外と大したことないような印象を受けるかもしれません。
でも、僕は1日当たり6時間も勉強することは相当難しいことだと思っています。
質問ですが、仕事でも趣味でも何でもいいのですが、1日に6時間も集中した状態で打ち込めているものってありますか?
それを1か月以上も継続しているものがありますか?
この質問にすぐに「Yes」と回答できる人は、公認会計士試験は楽勝です。
でも、多くの人が「No」という回答になるんじゃないかなと思っています。
勉強を継続するには休憩時間は必要ですし、机に向かっているけど集中できてない時もたくさんあります。
「月に150時間も勉強できれば合格できる!」と聞くと意外と楽勝な感じがしますが、冷静に考えてみると、相当な精神的な強さがないとできないことというのを、少しでも感じていただけると幸いです。
この記事のまとめ
- 1年間で1,500時間の勉強ができれば、短答式試験に合格できる可能性は高い。
- 短答式は財務会計論を中心に勉強するのが、合格のポイント。
- 1か月で考えた場合、短答式試験に合格には150時間の勉強が必要。
- 1日当たりなら6時間の勉強が必要。
勉強時間はあくまで目安であるため、今回ご紹介した時間を満たしていたとしても、絶対に合格できるわけではありません。
ただ、目安を目標に勉強することが大切だと思っています。
また、目安がないとそもそも勉強を始められないという人もいるかもしれません。
この記事が、短答式試験の勉強計画の参考に少しでもなれば幸いです。