慎重な決断を!30代から公認会計士を目指してはいけない人の特徴

この記事に書いてあること

・キャリアやライフイベントにおいて、30代ではどんなことが発生するのか

・30代から公認会計士を目指してはいけない人の特徴4つ

社会に出て働いていると、「この先、このままの働き方でいいのかな…」と不安に感じるタイミングもあるのではないでしょうか。

この記事を書いている私も、将来のキャリアを不安に感じて、27歳から公認会計士を目指し始めました。

「人生を変えたい!」と思って公認会計士を志すというのは、良い選択肢だったと感じています。

公認会計士を目指すことに年齢制限はありません。

また、合格後に監査法人に就職活動をする際にも、年齢でフィルターされるというのはあまり聞いたことがありません。

一方で、どんな年齢からでも公認会計士を目指してもいいのかと言われると、私としてはかなり微妙だと考えています。

公認会計士は何歳からでも目指してもいいですが、よりよい生活を求めているのであれば、万人にオススメできる選択肢ではありません。

そこで、この記事では「30代という年齢から公認会計士を目指していいのか」「リスクとリターンが釣り合っているのか」を解説します。

公認会計士を30代から目指すことに興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

30代は何が起こるのか?

まずは、30代という年代では、どういうライフイベントが起こり始めるのかを整理しておきましょう。

キャリアが固まり始める時期

転職市場において、30歳を過ぎてくると、個人のスキルの高さも求められますが、同じくらいマネジメント能力も求められてきます。

ここでいうマネジメント能力というのは、以下のようなものを指します。

マネジメント能力とは?

・後輩を育成する能力

・チームを率いるリーダーシップの能力

多くの事業会社では、30代からマネジメント能力を鍛えられる役割に携わることが増えてきます。

言い方を変えれば、30代で公認会計士を目指して勉強するということは、マネジメント能力を育てる機会を手放すということになります。

マネジメント能力を育てられないのは、30代の転職市場という観点から見れば、不利な条件になり得ます。

ちなみに、大手監査法人でのマネジメント能力を発揮する機会は、シニアスタッフ(入所して4年目以降)になるあたりからです。

仮に公認会計士を30歳から目指し始めて、2年で合格できたとしたら、30代後半にはシニアスタッフになります。

そのため、公認会計士を30代から目指し始めたら、どんなに早くても、30代後半までマネジメント能力を育てることはできないということです。

「30代後半でマネジメント能力を経験する」というのが早いのか遅いのかというのは、業種や会社によって評価は分かれるところです。

結婚や子どもを意識する時期

最近は晩婚化とよく言われていますが、30代にもなると結婚を意識する人も少なくないでしょう。

厚生労働省の統計から結婚の平均年齢が分かるのですが、男性は31.0歳、女性は29.5歳が初婚年齢とのことです。

そのため、30代から公認会計士を目指そうと考える人の中には、「公認会計士を目指しながら、結婚もしたい」「すでに結婚している」「子どもがいる」という方も少なくないでしょう。

家庭の有無で、公認会計士を目指せるかどうかは大きく変わってきます。

独身であれば、自分のことだけ考えて当面の生活費さえ確保できれば、公認会計士に挑戦してもいいでしょう。

しかし、すでに結婚をしているのであれば、パートナーとちゃんと今後のことを話し合う必要があります。

また、独身の人以上に、当面の生活費の工面などといった金銭面の課題もあります。

30代から公認会計士を目指してはいけない人

30代は自分のキャリアを固め始める時期であり、結婚などのライフイベントも待ち構えています。

これらのことを考えると、30代から公認会計士を目指していい人は限定されると私は考えます。

そこで、ここからは30代から公認会計士を目指すことをオススメしない人を紹介します。

公認会計士になれば人生が変わると考えている人

公認会計士は、医師や弁護士に並んで、資格を持っていれば安泰と思っている方も多いと思います。

極端な話、公認会計士に合格さえできれば「人生は上がり」と考えている人が少なからずいます。

ただ、医師や弁護士も同じですが、合格してからの方がいろいろな困難が待ち受けています。

もちろん、世間の平均の年収よりは高くなるでしょうが、仕事の責任は結構重くてストレスが結構かかります。

また、周囲の人もエリートが多くなりますから、何も考えずに付き合っているとお金は出ていきやすいです。

実際に、社会人から公認会計士の勉強をして合格した私の体感では、合格したからって人生は劇変しません。

確かに生活は全体的に良くなりましたが、劇的な改善では全くありませんし、「人生は上がり」なんて雰囲気は一ミリもありません。

むしろ、事業会社にいた時よりも次のキャリアのことを考えて、日々勉強に追われています。

「公認会計士に合格してからがキャリアのスタート」と思っている人でないと、合格した後に絶望すると思います。

MARCH未満の学歴の人

公認会計士試験は、最低でも2年もの間、毎日10時間程度の勉強を続ける必要があります。

つまり、公認会計士試験は地頭や勉強習慣の面で敷居が非常に高い試験だと言えます。

30代になるまで真剣に勉強に取り組んだことがない人にとっては、公認会計士試験の勉強を継続できない可能性が非常に高いです。

監査法人の出身大学は、私の周りを見回すと、東京大学・慶応義塾大学・早稲田大学といった高学歴の方が非常に多いです。

また、そういった学歴を持ちながらも公認会計士をあきらめた人は普通にいます。

こういったことを考えると、10代や20代でハードな勉強をしてこなかった人が、30代になって公認会計士試験の勉強を乗り越えられるとは、到底思えません。

極端な話ですが、Fラン大学の人が、30代になって一念発起して公認会計士を目指すというのは、非現実的な目標です。

もちろん、同僚にはMARCH未満の学歴の方もいますが、大学に入ってすぐに公認会計士試験に取り組んだ人ばかりです。

ヌル

すでに年収が500万円以上の人

無事に公認会計士試験に合格して大手監査法人に入ったとして、初年度の年収は500万から600万です。

せっかく長期間勉強して合格を勝ち取るのですから、大幅な年収アップを期待したいですよね。

ただし、今の仕事ですでに年収が500万円を超えているのでしたら、公認会計士試験を目指すというのはコスパが悪い選択肢かもしれません。

合格したのに年収が「変わらない」「下がった」となれば、「なんで勉強したんだろう…?」と自分を疑ってしまうかもしれません。

確かに、40代以降の年収の期待値は公認会計士の方が事業会社で務めるよりも高いかもしれません。

一方で、30代で年収500万円を勝ち取るほどの実力があるのならば、現在の職場での活躍や転職次第で年収1000万円は狙っていけると思います。

また、仮に公認会計士を目指すとしたら、ある程度の期間は勉強に専念するため、無職になるでしょう。

その際に、これまで年収500万円で維持してきた生活水準から大きく下げる必要が出てくるでしょう。

生活水準の落差でモチベーションが保てない可能性があります。

私の場合、もともと質素な生活をしていたので、生活水準で苦労したことは少ないです。それでも、飲み会や遊びを基本的に断っていたので、少し寂しい生活ではありました。

ヌル

ちなみに、監査法人での年収については、私の実体験を記事にしていますので、興味がある人は後で読んでみてください。

>リアルな数字で解説!大手監査法人のスタッフの年収はどれくらい?

家族を養わなければならない人

前の段落の年収と被る点がありますが、無収入でも家庭を保てる貯蓄がないのであれば、公認会計士を目指すべきではありません。

仮に貯蓄があったとしても、無収入で数年間を過ごすとしたら、数百万円単位で貯蓄を取り崩すことになるでしょう。

この数年と数百万の投資をしてまで、公認会計士になって得られるメリットと釣り合うか、慎重に検討しなければなりません。

また、公認会計士に合格すれば就職に困ることはないですが、家族がいる方は不合格になった時のことも真剣に考えないといけません。

数年と数百万を消費した結果、不合格となったら、再就職はどれほどスムーズに進むでしょうか。

また、再就職ができたとして、年収はどの程度を確保できるのでしょうか。

公認会計士を目指すために会社を辞めて、数年の無職期間があることで再就職が難しいようでしたら、家族とこれからも生活するためにも、公認会計士へ挑戦するのはかなり慎重に決断すべきです。

この記事のまとめ

  • 30代から公認会計士を目指してもいい人は限られている
  • 仮に30代から公認会計士になれたとしても、人生は劇的に変わらない
  • 10代・20代で勉強習慣が身に付いていない人は、公認会計士を目指してはいけない
  • 家族をすでに持っている人は、とても慎重に決断してほしい

公認会計士は収入や将来性を考えれば魅力的な資格であることは確かです。

でも、その分の難易度はとても高いし、時間とお金の投資はそれなりに重いです。

特に30代で公認会計士をあきらめた場合のダメージは、かなり大きいはずです。

もし、30代でこれから公認会計士に挑もうと考えている人は、じっくりと検討して、慎重に判断することを願っています。

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